カテゴリ:本( 19 )

『戦争の世紀を超えて』

広島では、学校教育のなかに”平和学習”と”いうカリキュラムが組み込まれています。
とはいってもその詳細はよく覚えてないのだけど(学校によって違いがあるのかな)原爆のことや、戦争の歴史についてなど、夏休みの研究テーマで宿題になったりしてました。
これが全国的じゃないってことは、大人になって東京に住み始めるまでまったく知りませんでした。カルチャーショックだわね。
だから、同世代の友人でも戦争に対してどんな認識を持ってるかわかりません。


原爆の被害についてよく聞くのが、「かわいそうで見るにしのびない」という感想です。
まったく、人として当然の反応ですのが、どうかそこで思考を止めないでほしい。
そんな姿をさらしたいわけはないのに、その悲惨な写真を公衆につきつけている意味を考えて欲しい。

これは、事故でも天災でもなくて、まぎれもなく人間がやったこと。
被害者にシンパシイを持つことはわりとたやすい。
だけど、加害者側に自分がなる可能性について考えることはないですか。

悲惨な被爆者の写真を目にするとき、誰もが「こんなひどいことは自分にはできるわけない」と思ってしまうけど、ほんとうにそうなのか。

20世紀は戦争の世紀といわれるけど、その混沌のなかで人をたくさん殺してきた多くの人は、今ここに住んでいる自分や隣人、そんな善人だった。
なにかのきっかけ、正義感らしきものや、大義名分のもとに、正当化されれば、あるいは恐怖によるパニックから、人は意外に残酷なことが平気でできる。

f0146466_1713186.jpgオウム事件だって、
地下鉄サリン事件の実行犯、知性も理性もある”善人”に、なぜあんな恐ろしいことができたのか、ちゃんと解明できていない。

ヨーロッパの悪夢ホロコーストがどうしてあれほど暴走したのか、独裁者の存在だけでは説明できない。

今だって、たとえば北朝鮮から攻撃を受けてしまったら(もしそれが誤報でも)大切な人を守りたいと思ったら、得体の知れない国だけに、反撃には抵抗感が薄いんじゃないかと思う。

善意の暴走はこわい。

案外『STAR WARS』のテーマもそんなところじゃないかと思ったりするのですが、去年の『ガンダム』に続いて、NHKなりの反戦キャンペーン?というのはうがちすぎかなあ。
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by contrailfine | 2010-07-11 23:18 | | Trackback | Comments(2)
f0146466_2112816.jpg『アルジャーノンに花束を』のダニエル・キイス。(それしか読んだことないの)

内容は
職場の放射能事故によっていつのまにか被曝してしまった若い夫婦。
放射能障害、まわりからの偏見と迫害。
望んでいたはずの妊娠。

最初1968年に発表された小説。
キューバ危機などあった時代?当時のアメリカ人の放射能への反応はこんなものなんでしょう。
ふたりとも被害者で心身ともに大きく傷ついているのに、まわりからは放射能をまきちらす”加害者”として迫害されてしまう。


深刻な話なのに、私にはどうしてもファンタジーに思えてしまう。

”被曝”のイメージが広島と大きくかけはなれているからかもしれない。


この小説をあえて2003年に改訂版として再度出版したのは、
世界中で事故や不法投棄、盗難などで放射能汚染が相次いでいるからだとあとがきにあります。
大きな事故なら報道もされるけど、不法投棄、盗難、不正使用などはあまりニュースにはならない。
そのなかで、ひょっとしたらこのふたりの災厄は明日自分にふりかかってくることかもしれない。

小説の出来より、そんなことがショッキングです。


核というものを考えるとき、いつもギリシャ神話のプロメテウスを連想します。
人間に”火”という、有益で同時に危険なものをもたらしたプロメテウスは繰り返し永遠に生きながら腹をハゲタカについばまれるという罰を受ける。
核はいまや現代生活に欠かせないけど、ときおり生贄を要求するものかもしれない。
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by contrailfine | 2010-07-01 23:10 | | Trackback | Comments(4)
寒さがほんとにダイレクト。
たぶん岡山は空気がきれいだから。
なので、私もずっと風邪ひいてません。(それはアタマ使ってないから)
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せめて本読んだ気になろうと思ってf0146466_22492479.jpgこんな新書を

外務省のラスプーチンと呼ばれたあの佐藤優さんと、立花隆さん。
好き嫌いは別にして興味あるお二方です。

ふたりのセレクト”必読の教養書400冊”は、予想通りさっぱり~
「はてしない物語」「ローマ人の物語」など既読は数冊のみ




世の中に流されないためには本はやっぱり読まなきゃいけない。
鵜呑みにしちゃいけない。
翻訳によってずいぶん違うこと。
(だからいろんな本を)
などなど。

外務省のウラ話みたいなのも面白い。


でも、日本の教育で足りない部分、特に歴史とか、世界情勢、地政学、ちゃんと教わったほうがいいなと思いました。世界に取り残されるのも仕方ないわ。

好き嫌いは置いといて、読むべき本がたくさんあるのにね~あいかわらず体育会系なワタシ。
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by contrailfine | 2009-11-18 22:20 | | Trackback | Comments(0)
f0146466_8575046.jpg『チャイルド44』の続編。。

ソビエト秘密警察で鍛えられた主人公は、ハリウッドヒーロー的?に、やられてもやられても、というタフさ。それはそれで魅力。

前作とは雰囲気が違ってエンタテイメント要素が強いような。


スターリン死後、フルシチョフの政策転換に翻弄される社会で、圧制の被害者は取り返しのつかない人生をどう生きるか・・・まず復讐でしょ。自己弁護と。それに政治もからむ・・

主人公が命がけで寄せ集めの家族を守ろうとするのも、体制側として何人も犠牲にしてきた自分自身の過去への復讐なんでしょうか。


次作で完結のようです。
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by contrailfine | 2009-09-01 23:55 | | Trackback | Comments(0)

清張 生誕100年

f0146466_919985.jpg司馬遼太郎と松本清張が亡くなったときはショックでした。
オヤジ度高いですから。
好きな作家さんて、たいてい女性描写が下手。それもご愛嬌。


今読むと、改めてそのジャンルでは”古典”になってることを実感します。

時代を感じるのは設定ばかりではなく、人のありかた。
節度ある態度だったり、丁寧な礼儀だったり。
そのかわりに私たちが手に入れたものは、いろんな束縛からの自由なのかも、と思うと救われる気もしますが。



でも本当に映像化したい気持ちはよくわかります。
清張も”素材”になっちゃったのね。それは名作の証ということなんでしょうか。
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by contrailfine | 2009-02-05 10:15 | | Trackback | Comments(2)
f0146466_16405471.jpg初期の、ハンニバルやカエサルの活躍(古代ローマ隆盛のあたり)に比べて、安定したり停滞したり、とちょっと退屈?!

まとめて五賢帝時代から滅亡の予兆の頃まで読みました。



2000年経ったって歴史はその解釈がいろいろあって、総括するのはむずかしい。
今現在私たちは民主主義というのがいいとされた社会に生きているど、他に比べると問題が少ないんじゃないかという、あくまでベターな選択であって、ベストなわけじゃない。
あと100年たったらこの時代はどんな評価をされるんでしょう。


「迷走する帝国」では、人材が不足してリーダーがめまぐるしく交代します。
国力というのは人材なのかもしれません。まるでどこかの国のよう。
このあとキリスト教の台頭とともにローマ帝国というシステムは機能しなくなってきます。


これだけ長きにわたって各国を支配しているキリスト教のほうがはるかに完成されたシステムなんでしょうが、多くの日本人は他を排除しようとしない信仰(そうとは自覚しない)のなかにあってなんて平和なんだろうと思ったりします。
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by contrailfine | 2009-02-01 16:55 | | Trackback | Comments(0)
f0146466_21114935.jpg”このミステリーがすごい!”の帯にまんまと乗せられてしまう昨今。
確かに面白かったです。

「チャイルド44」は、44人の子供が殺されたという意味ですが、ソビエトで起きた52人もの子供が殺された実際の事件がヒントになっています。

「犯罪は存在しない」とする”理想国家”としては、殺人事件などありえない話なので、犯罪を追及しようとする主人公は国家にとっても危険分子として追われることになります。
ミステリーとしての要素は満たしていながら、読んでいてなにより恐ろしいのはそんな国家権力の暴走。
最初から最後まで感じる窮屈さは、監視された社会で、一時の油断も反逆者の汚名となって自分も家族も抹殺される危機感が常にあるから。

小説は時代をスターリンの恐怖政治に置いていますが、それが過去じゃない国も私たちは知っているし、SF小説などでも、未来の統制された社会はしばしば登場します。

日本にそんな未来が来ない保証はないですよね。
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by contrailfine | 2008-12-25 22:04 | | Trackback | Comments(2)
f0146466_9294714.jpgアン・ブーリンのことはちょっと興味があったので(映画ではナタリー・ポートマンがやってるし)、読んでみました。

東海テレビの昼のドラマみたい、とつい思ってしまうのは、俗っぽい文章のせい。


”権力”ってこういうものなのかと怖くなります。
平安時代の日本でも同じような構図は有名だけど、首をはねられないだけまし。

時代は、振り返って統括することはそんなに難しくないかもしれないけど、その時代で流されないのは難しいことでしょう。

権力に擦り寄って、結果、首をはねられるようなところにいなくてよかった。
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by contrailfine | 2008-10-18 09:30 | | Trackback | Comments(0)
f0146466_1459887.jpgたかだか100年ちょっと前の日本人なのに、なんだか違う世界のような遠さ。
かといって昔が良いとは絶対に思わないけど、ずいぶんなものを捨ててきたものだなと。

『遠野物語』ももちろん。

遠いけど、その光景が素直に想像できてしまうのは、やっぱり奥底で受け継がれたものがあるんでしょうか。



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関東のほうは集中豪雨でたいへんそう。すこし香川県あたりにお恵みを。




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さいきん立て続けにこんな若いCDを買ってしまった。
こちらはまさにグローバルな日本の”現代”そのもの。
美しくてパワフル。

とりあえず、”パワフル”だけおすそわけいただいて。
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by contrailfine | 2008-08-05 15:08 | | Trackback | Comments(2)
f0146466_982193.jpgネコ好きに思いっきりアピールする、このうしろ頭。

「夏への扉」というからにはこの季節にふさわしい、と思われたらごめんなさい。
冬の寒さから逃げる夏への扉を探してしまう猫(と人間)のことなのです。

古典的SF、と言っていいかと思います(なにしろタイムマシンですからね)、ストーリーも割と単純です。
でも、今までこの本を好きな人に何人か出会ったし、きっとファンも多いはず。

SFであれホラーであれ、モチーフやディテールはどんなに複雑化しても、読みつがれる本には、きちんと描かれているものがあるんだと思います。

人によって読み方はいろいろあるでしょうが、なんか、少年っぽい夢に弱いのは私のウィークポイントです。
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by contrailfine | 2008-06-18 09:59 | | Trackback | Comments(4)

京都生活も6年目。趣味で始めた染色は9年になりました。


by contrailfine
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